世界で最も深く、淡水で最も巨大なロシアのバイカル湖の凄さとは

世界で最も大きな淡水湖をご存知ですか?

その湖は、世界で最も深い湖としても知られています。ロシアのシベリア南部に位置するバイカル湖です。
それでもピンとこない方には、「チョウザメで有名な湖」と言えば分かるかもしれません。
今はどうか分かりませんが、小学生の社会の授業で少し触れられた記憶がある方もいるのではないでしょうか。世界最大の淡水湖、あるいは世界で最も深い湖として紹介されていたかもしれませんね。

雑学:世界最大の湖と比較

ちなみに、世界で一番面積が大きい湖はカスピ海(374,000km²)です。大きさは日本(377,923km²)とほぼ同じ面積で、「湖なのに海とはこれいかに」とツッコミを入れたくなるような湖です。ただし、カスピ海は塩湖なので、淡水湖ではありません。

一方、バイカル湖の面積は31,500km²、周囲は1,960kmです。湖としての面積は世界で7位ですが、淡水湖としては第1位。さらに、バイカル湖の水は地球上の淡水の約5分の1を占める量を誇ります。

参考までに、日本の琵琶湖の面積は670km²。バイカル湖と比べると、比較にならないほど小さいですね。

バイカル湖の凄さはその深さ

バイカル湖は最大水深1,741mで、世界で最も深い湖です。2位のアフリカ・タンザニアにあるタンガニーカ湖(1,471m)と比べても、その差は歴然。想像もつかないほどの深さを誇るバイカル湖ですが、実は今もなお深くなっています。

通常、湖は数万年経つと、川から運ばれる泥や砂が堆積して消滅してしまいます。しかし、バイカル湖はユーラシアプレートとアムールプレートの境界にある地溝(断層)によって形成された地形のため、年に約6mmずつ深さが広がっているのです。

日本の最も深い湖は秋田県仙北市にある田沢湖で、深さは423m。3倍にしてもバイカル湖の深さには遠く及びません。

ちなみに、海で最も深い場所はフィリピン沖のマリアナ海溝にあるチャレンジャー海淵で、深さは約10,920m。海の平均的な深さは4,750mだそうです。イメージしにくいですが、西ヨーロッパ最高峰のモンブラン(4,810m)とほぼ同じくらいの深さだと考えると、少し分かりやすいかもしれません。

バイカル湖の環境

バイカル湖は世界でも最も古い古代湖の一つですが、普段の風景は普通の湖と変わりません。しかし、冬の1月~5月に湖が凍る時期になると、景色は一変します。世界で最も透明度の高い水が凍ったエメラルドのような氷の世界が広がり、見渡す限り美しい光景が楽しめます。

気候は夏が約20℃、冬は-20℃ほどになります。冬になると湖が凍るため、車で湖上を渡ることができ、湖の中に標識が設置されて人や車が氷の上を走行します。観光にも力を入れており、遊覧船やホバークラフトで湖を周遊することも可能です。
バイカル湖は世界自然遺産に指定されており、「ロシアのガラパゴス」と呼ばれるほど豊かで特殊な生態系が育まれています。

バイカル湖へのアクセスは?

日本からバイカル湖へ行く場合、まずはモスクワまで飛行機で約10時間30分。そこからイルクーツクまで飛行機で約5時間30分、さらにバスで約2時間かかります。トータルで約18時間ほどなので、1日あれば行ける距離ではあります。
ただし、「とても近い」とは言い難いですね。

バイカル湖周辺の気候

バイカル湖周辺は寒い地域ですが、意外と雪は多く降らないようです。ただし、近年は地球温暖化の影響で降雨量が増えていると言われています。
巨大な淡水湖であるバイカル湖は、周辺の気候にも影響を与えています。シベリア大陸という寒冷な地域にあっても、湖の影響で周辺は比較的温暖です。そのため上昇気流が発生し、高気圧が避ける傾向にあるそうです。