初夢で見ると縁起が良いとされる「一富士二鷹三茄子」の秘密
初夢とは、新年を迎えて最初に寝る夜に見る夢のこと。そんな初夢で見ると縁起が良いとされるのが、「一富士二鷹三茄子」という言葉です。江戸時代以前から親しまれてきたこのフレーズも、今では日常会話で耳にすることは少なくなりました。それでも、正月番組などで取り上げられることがあり、どこか懐かしい響きがありますよね。
さて、「一富士二鷹三茄子」をご存知の方は多いと思いますが、その続きがあることを知っている人は意外と少ないのではないでしょうか? 実はこの言葉、続きがあって、こうなります:
「一富士、二鷹、三茄子、四扇、五煙草、六座頭」
※地域によって4、5、6番目は異なる場合もあります。
では、なぜこれらが縁起物とされているのでしょうか? その背景にはいくつかの説があります。
徳川家康にまつわる説
最も有名なのは、徳川家康に関連する説です。この言葉は江戸時代初期から記録に残っており、家康の好物やゆかりのものを並べたものだと言われています。家康は晩年、静岡県中東部の駿河国(現在の静岡県)で過ごし、富士山を眺めながら生活していました。また、鷹狩りが趣味だったことや、三保の松原周辺で栽培されていた「折戸茄子」を好んで献上させていたことから、「一富士二鷹三茄子」が生まれたとされています。
しかし、「四扇、五煙草、六座頭」はどうでしょう? 扇は涼を取る道具として家康が愛用した可能性はありますが、煙草はどうでしょうか? 実は、家康は煙草の種を日本に持ち込み、栽培を奨励したとされています。そのため、「五煙草」もそこまで不自然ではありません。一方で、「六座頭」は盲目の琵琶法師を指す言葉で、家康との直接的な関連は不明です。後から付け加えられた可能性もあり、深く追求するのは野暮かもしれませんね。
ちなみに、座頭とは、琵琶を奏でながら物語を語る僧侶や芸能者を指します。
駿河国の名物説
もう一つの説は、駿河国の名産品を順に並べたというものです。富士山はもちろん、鷹や茄子も駿河の名物として知られていました。この説では、「一富士二鷹三茄子」が地域の誇りを象徴しているとも考えられます。
言葉遊びの説
さらに、言葉遊びや連想による説もあります:
- 富士:日本一の山=「一番」
- 鷹:強く賢い鳥=「力と知恵」
- 茄子:「成す」に通じ、物事を成し遂げる
このように、縁起の良いイメージを連想させる言葉遊びが込められているのです。
「一と四、二と五、三と六」の縁起の掛け合い
この言葉にはもう一つの魅力があります。それは、1と4、2と5、3と6がそれぞれ縁起の良い意味で結びついている点です:
- 富士と扇:富士山の形は扇のように末広がりで、子孫繁栄や商売繁盛を願う象徴。
- 鷹と煙草:鷹も煙草の煙も空高く昇るため、運気の上昇を表す。
- 茄子と座頭:茄子も座頭も「毛がない」=「ケガない」にかけ、怪我や災いがない安全を願う。
この巧妙な言葉の掛け合いが、「一富士二鷹三茄子、四扇五煙草六座頭」をより魅力的なフレーズにしています。
まとめ
「一富士二鷹三茄子」は、ただの縁起物の言葉ではなく、歴史や地域性、言葉遊びが詰まった奥深いフレーズです。新年を迎える際、初夢でこれらの縁起物を見られたら、きっと良い一年になるはず! あなたはどんな初夢を見たいですか?







