タラバガニを食べたけど…それって本当にカニ?
冬はやっぱり鍋。鍋といえばカニ、カニといえば鍋。そんなわけで、タラバガニが1,500円というリーズナブルな値段で売られていたので、迷わず食べてみた。
美味しくいただいたのだけれど、食後ふと思い出した。「タラバガニってヤドカリの仲間じゃなかったっけ?」と。気になってスマホで調べてみる。
タラバガニは、十脚目(エビ目)-異尾下目(ヤドカリ下目)-タラバガニ科-タラバガニ属に分類される甲殻類らしい。うーん、なんだか難しくてよくわからない。
もっと簡単に言うと、生物学的にはヤドカリの仲間らしい。
……やっぱりカニじゃなかったのか。
いや、美味しかったけどさ。あんなに立派な殻もあって、味だってズワイガニとかと変わらないのに。「カニじゃない」って言われるとちょっとショック。
じゃあ、何が違う?
一番わかりやすい違いは足の数だ。
- ズワイガニ:左に5本、右に5本、合計10本
- タラバガニ:左に4本、右に4本、合計8本
タラバガニは2本少ない!
「なるほど、足の数が少ないからヤドカリなのか」と思うかもしれないけれど、実はタラバガニにも足は10本ある。
ただし、そのうちの2本はすごく小さくて、エラのあたりに隠れているんだ。だから、普通に見えるのは8本だけ。
偽装問題にご注意
そんなタラバガニだけれど、近年は乱獲の影響もあって高級品になってきている。
高級品になるとつきものなのが偽装問題。
キャビア、牛肉、魚――どれも似たような見た目や味のものが使われ、偽装されるケースがある。
そして、タラバガニにも偽装品が出回っている。その正体は「アブラガニ」。
アブラガニは、味はタラバガニより劣るとされるものの、漁の時期が違うため、タラバガニの旬でない時期に「タラバガニ」として流通することがある。
しかも、冷凍のタラバガニよりも新鮮なアブラガニの方が美味しいなんてこともあるから厄介。
代用魚って知ってる?
つまり、タラバガニとして売られているものが実はアブラガニというケースがあるというわけだ。
これは「代用魚」と呼ばれる手法。
近年、漁獲量が減っている魚の代わりに、見た目や味の似た魚が使われている。
たとえば、あまり知られていないが、「ししゃも」として安く売られている魚の多くは、実はカペリンという別の魚だったりする。
1パック12匹で300円くらいのししゃもは、ほぼ間違いなくカペリン。本物のししゃもは、1尾100円以上することもある。
話を戻そう
つまり、アブラガニがタラバガニとして偽装販売されていることがあるという話。
「アブラガニ」という名前で正しく販売すればいいのに、「タラバガニ」と表示して売ってしまう業者がいる。実際に、そういった偽装で行政指導を受けた例もある。
特に注意したいのが缶詰。
缶詰のラベルには「タラバガニ」と書いてあっても、中身はアブラガニということがある。正直、缶詰になってしまえば味の違いなんてほとんど分からない。
でもまあ、安い缶詰なら「気にせず美味しく食べよう」でいいと思う。
ただし、贈り物として買うときは信頼できる業者を選ぶべき。殻を取って身だけになると、タラバガニもアブラガニも見た目はかなり似ているから、素人には区別がつかない。
実際、以前話題になった阪急阪神ホテルの「レッドキャビア」がトビウオの卵だった問題でも、長い間バレなかった。食品偽装って、よほど詳しい人じゃないと気づけないのだ。
だから、「これアブラガニっぽい」とか言いながら食べても、普通は分からない。
あの鍋。1,500円でタラバガニ入りって安すぎるよな……
……まさか、偽装されてた!?






