登山のブームは終わりましたが、今でもたまには特集が組まれることありますね。こうしたメディアを見ていると、「体力がないから難しいかも…」と思うかもしれませんが、意外に気軽に始められるのが登山の魅力です。

しかし、忘れてはいけません。山は普段の生活圏とは違う特別な場所です。
だからこそ、しっかり準備をしてから臨みましょう。

 

どんな山に登るかで準備も変わる!

「山に登る準備って、リュックと水筒と弁当で十分じゃないの?」そう考えているなら、それは危険信号です!実は登山のタイプはさまざま。

  • 日帰りピクニック
    幼稚園の遠足を思い出してください。親に作ってもらったお弁当を持って、先生の引率で10分〜30分程度で登れる、公園のような山のことです。例えば、日本で一番低い山である日和山(標高3m、宮城県仙台市宮城野区)や、東京の飛鳥山(標高25.4m、東京都北区の飛鳥山公園)などがこれにあたります。あなたの家の近くにも、公園のように気軽に登れる山があるかもしれませんね。こういった山は、本当にお弁当と水筒だけで気軽に楽しめます。
  • 日帰り登山
    多くの人が登山を始めるきっかけとなるのが、この日帰り登山です。日帰り登山ができる山の特徴は、必ずしも「低い山」だけではありません。日本一の富士山も、無理をすれば日帰りで登ることが可能です。一方、アクセスが困難だったり、人が少なく整備されていない山は、日帰りには向かないことがあります。中学校や高校で登った山の記憶から、「日帰り登山は簡単」と準備を怠る人もいますが、少し考えてみてください。当時のあなたは、多くの仲間や先生と一緒で、何より体力も一番あったはずです。今のあなたは、あの頃と同じ体力がありますか?一緒に登ってくれる人も、登山経験が豊富な人ばかりではないかもしれません。万全な準備をすることで、自分の安全を守ることができます。
  • 山小屋に宿泊して縦走登山
    複数の山を越えながら歩く本格的な登山です。
  • 海外の山に登る
    エベレストのような高い山に挑戦したい方は、日本山岳協会に相談してみるのがおすすめです。

この記事では、多くの人が挑戦する「日帰り登山」に必要な準備を中心に解説していきます。

日帰り登山に必要な道具リスト

「登山に必要なものってたくさんありそう…」と感じるかもしれませんが、すべてを一度に揃える必要はありません。代用できるものは手持ちのものでOKです。ただし、登山靴だけは足を痛めないためにも、できるだけ専門のお店で試着して準備してください。

  1. 登山靴
    一番重要です!普段履いている靴では、石や砂利、デコボコ道に対応できません。登山靴は、ローカット、ミドルカット、ハイカットの3タイプがありますが、日帰り登山ならミドルカットがおすすめです。お店で厚手の靴下を履いて試着し、足に合うものを選びましょう。隙間があると靴擦れの原因になります。
  2. ザック(リュックサック)
    登山用のザックは、重い荷物を長時間背負っても疲れにくいように頑丈に作られています。高価なものが多いので、まずは手持ちのリュックで1〜2時間の山を体験してみて、必要だと感じたら購入を検討しましょう。
  3. 水筒
    最初はペットボトルで十分です。時期によりますが、夏なら1リットルは欲しいところ。一度にがぶ飲みせず、こまめに水分補給をしましょう。
  4. 食事(行動食・昼食・非常食)
    • 行動食:登山中に食べる、カロリー補給のためのものです。階段を5階まで登るだけでも息切れするように、体がエネルギーを消費します。定期的にカロリー補給をすることで、疲労を防げます。塩飴やチョコレートなど、栄養価が高く個包装されたものが便利です。
    • 昼食:山頂で食べるご飯は格別です。登り切った達成感が最高の調味料になりますよ。
    • 非常食:万が一のために、カロリーメイトやチョコレートなど、手軽に食べられるものを準備しておきましょう。使わなくても後で食べられますしね。
  5. 登山地図/コンパス
    この2つは非常に重要です。地図の読み方も確認しておきましょう。道に迷うことは命に関わります。GPSがあるから大丈夫と思わず、必ず地図とコンパスも持参してください。
  6. 帽子
    熱中症対策や防寒対策になります。転倒した際の頭部の保護にも役立ちます。
  7. 時計/携帯電話
    時間の確認はもちろん、登山用の時計なら標高や方位、気圧がわかる高性能なものもあります。最近は山でも電波が入る場所が増えたので便利ですが、バッテリー残量は必ず確認しておきましょう。
  8. タオル
    汗を拭いたり、頭に巻いて汗が目に入るのを防いだりできます。怪我の応急処置にも使えますし、下山後の温泉でも活躍します。
  9. ティッシュ
    汚れを拭いたり、鼻をかんだり、さまざまな用途に使えます。使用済みのティッシュは必ず持ち帰りましょう。
  10. 救急セット
    自分や同行者が怪我をする可能性はゼロではありません。グループなら1つあれば十分です。絆創膏、頭痛薬、下痢止め、鎮痛剤、消毒液など、個人に必要なものも合わせて準備しておきましょう。靴擦れ対策にテーピングもあると便利です。
  11. 保険証
    財布に入れている人がほとんどだと思いますが、念のため登山に行く際は必ず持参しましょう。
  12. 登山計画書
    日帰りや低い山だからといって、作らないのは危険です。万が一遭難した際に、救助隊があなたを迅速に助けるための重要な情報源となります。山によっては提出場所が異なるので確認し、提出場所がない場合は家族に渡しておきましょう。日本山岳協会のウェブサイトにテンプレートがあります。
  13. ビニール袋
    ゴミを持ち帰るのに使います。いざという時には雨よけにもなります。
  14. 雨具(レインウェア)
    上下セットで必ず準備しましょう。通気性の良いゴアテックスのような素材がおすすめです。蒸れると不快なだけでなく、汗冷えで体力を消耗します。
  15. 防寒着
    夏でも山の上は冷え込むことがあります。保温性と吸汗拡散性に優れた登山用の服装を選びましょう。半袖半ズボンでの登山は、木の枝などで怪我をする可能性があるので避けましょう。

まとめ

  1. 登山靴
  2. ザック
  3. 水筒
  4. 食事(行動食・昼食・非常食)
  5. 登山地図/コンパス
  6. 帽子
  7. 時計/携帯電話
  8. タオル
  9. ティッシュ
  10. 救急セット
  11. 保険証
  12. 登山計画書
  13. ビニール袋
  14. 雨具(レインウェア)
  15. 防寒着

合計15のアイテムを挙げましたが、これ以外にも季節や登山する時間帯によって必要な道具は変わってきます。例えば、冬山なら雪対策が必要ですし、昼から登るならヘッドライトも準備しておきましょう。

最後に、登山は頂上に着くことだけが目的ではありません。少しでも無理だと感じたら、引き返す勇気を持つことが何よりも大切です。どんなに低い山でも、足をひねったのに無理して登り続けたり、準備を怠ったりした結果、大怪我をしてしまう人は少なくありません。

引き返しても、また次の機会があります。安全第一で、楽しい登山をしてくださいね!