『宇崎ちゃんは遊びたい!』とのコラボで作られた献血への呼びかけのポスターが日本の世の中の片隅で話題になっている。たとえテレビで取り上げられても片隅での出来事だ。
日本赤十字社の戦略
赤十字は今まで献血を呼び掛けるために様々なポスターを作ってきた。その献血のポスターのなかで『宇崎ちゃんは遊びたい!』が問題として取り上げられている。
問題点として
胸を強調したキャラクターが過度な性的なものだからとのこと
日本の文化になれている我々はそんなポスターではそれほど気にしない。むしろ目にすら入っていないかもしれない。背景の一部だとしか認識していなかった。
防災のポスターも交通事故防止のポスターも様々な施設に掲示されているが目にはついていない。それと同じように献血の呼びかけるポスターも視界にはいらずに消えていく。
視界に入っても意識されないと意識に入らないということは大きな問題だ。意識の中に入れるためにはどうすればよいのか。そこで重要なのがターゲットを絞った戦略になる。
献血の呼びかけをどの年代の誰に届けるにか?
答えは”10代”の”男性”に届けるである。
過去のポスターを見ても多くは女性キャラクターを用いて呼びかけを行っている。わかる人にだけわかればよいという戦略で献血人口と習慣を早い段階から根付かせようとしている。
また、低年齢の献血の人口は低い。高年齢になれば献血もできなくなる人も多いこともある。若いうちの行動力と1度経験していれば針を刺し血抜かれるという忌避感はかなり減らすことができる。
低年齢をターゲットにする理由と男性へ訴えるポスターを作り理由はほかにもある。それが献血をする人の男女比です。
平成30年の献血の年齢の男女比
献血男女比 平成30年
平成30年
16-19(1.395:1)
献血ができる年齢からの3年間
男性 154987人
女性 111134人
平成19年
男性 174156人
女性 150258人
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平成30年
20-29(1.703:1)
男性 452112人
女性 265461人
平成19年
男性 654530人
女性 480572人
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平成30年
30-39(2.681:1)
男性 590039人
女性 220083人
平成19年
男性 941654人
女性 427587人
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平成30年
40-49(3.13:1)
男性 1009780人
女性 322598人
平成19年
男性 801642人
女性 286768人
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平成30年
50-59(3.135:1)
男性 881525人
女性 281230人
平成19年
男性 540821人
女性 229842人
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平成30年
60-69(3.334:1)
男性 343854人
女性 103141人
平成19年
男性 163794人
女性 87926人
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平成30年合計
男性 3,432,297
女性 1,303,647
数値で見る血液事業
http://www.jrc.or.jp/activity/blood/data/
人口比率の差もあるが20代の献血の比率と40代、50代に比べると明らかに少なくなっている。平成19年度のデータと比べても明らかに減っている。
もちろん低年齢の人口の減少という大きな要素もあるがそれでもかなりの数が減少している。
平成19年と平成30年という10年の間に20代が30代に30代が40代になっているデータからは女性の献血人口は減少しているのに対して男性の献血の比率は20代から30代になった人たちは減少し、30代から40代は上昇している。
女性よりも男性のほうが体の体調に大きな変動ない分、献血を行える可能性は高いことも重要な要素である。
年齢ば上がるほど男性と女性の献血を行う比率に差が生じていることからも見て取れる。
しかし、10代20代の献血の男女比が2倍の差が生まれていないが年齢が上がることで男性の献血を行く人が増えているというわけではないのが平成19年から平成30年のデータを見ても分かる。
年齢を重ねれれば重ねるほど減っていくデータからは献血への興味、仕事、年齢を重ねたことからの体調の変化といった要因があることも考慮しなければならない。
それらを含んでも若い世代の男性をターゲットにするのは当然といったところだろう。
ターゲットを考えると女性のキャラクターであることは重要であるし、若者に理解しやすい漫画のキャラクターという要素も重要だ。
アイドルを使用しても様々な問題を起こす可能性がある日本でもっとも知名度のあるAKBですら様々な問題を起こしている。
昔ポスターに使ったからと言って火の粉が飛んでくる可能性のあるものはできるだけ排除したいと思うのは当然の考えである。
また、女性の性的に感じるポスターを公共場所に配置すること自体が悪いという意見もある。テレビやSNSなどで批判する人たちの多くは取り上げている意見であるが、日本は長年、女性の下着姿の巨大な広告を人が多く集まる場所に掲載してきた。
もちろん下着メーカーの広告である。そしてテレビCMにも下着姿の女性が平然と登場している。日本ではそれが当たり前のように繰り返されてきており、漫画のキャラでしかも普通の服(顔と腕以外の露出はない)を着ている絵を見て環境型セクハラ騒いでいる。
漫画の絵だから問題であるという意見もあるだろうが、今の日本ではアニメ・漫画は子供よりも大人が見るものになっいる。アニメは子供の起きている時間ではなく基本的に深夜に放送するものになり、漫画も1冊800円が当たり前のようになっている。小さい子供の手の届かない場所へと変化している。
女性をアイコンとして用いることがよくないという考えもある。ポスターにはとりあえず女性という考えは昔からある。こういった考えがあることはわかるが、今回のターゲットが男性である限り女性のキャラクターは必然である。
誰に訴えかけるかがポスターの意義であって現代社会において無難なポスターを張り出すことは費用の無駄でしかない。
また、献血の男女比をみると全体的に『男性3:女性1』から考えると男性と女性のどちらを切り捨てるかと考えれば女性を切り捨てるという考えもできる。
ジェンダーとしての活動している人や社会のことを考える人達の年齢層を考えると献血への人口が下がることもある。若者の社会への期待や余裕がないために献血のポスターに注意する人の数は格段と減ってしまう。
などという感想を抱いたのだけど
日本人らしくあっという間に忘れていくのだろう。