「30代後半、そろそろ一度診ておくか」。そんな軽い気持ちで予約した人間ドックでしたが、病院選びの段階から、私は医療業界の「価格の迷宮」に迷い込むことになりました。

11万円より5万円の方が項目が多い?価格設定の謎

検索を始めて驚いたのは、その価格差のひどさです。7万円のところもあれば、11万円もかかる場所もある。宿泊施設の関係かと思いきや、日帰りでも4万円近い差があるのです。

さらなる衝撃は、11万円のプランの方が検査項目が少なかったこと。結局、私は「脳ドックを付けても8万円を切る」という5万円台の病院を見つけました。来年1月ならさらに30%引きという、もはや儲けが出るのか心配になるレベルの価格設定でしたが、背に腹は代えられず、11月末に予約をねじ込みました。

自分の「脳」に興奮する知的な午後

当日は朝1時間のドライブからスタート。検診そのものより待ち時間の方が長く感じられましたが、脳ドックの結果解説は、その疲れを吹き飛ばすほど面白いものでした。

モニターに映し出された、私の脳の血管。「少しうねうねしているね」と先生は言いますが、心臓から繋がるルートに異常なし。自分の思考の器を映像として眺めるのは、知的好奇心が刺激される至福の時間でした。先生を質問攻めにし、あっという間に時間が過ぎていきました。

「D判定」の衝撃と、おでん禁止令

しかし、安堵は束の間でした。人間ドックの診断結果には、特に異常なしとされつつも「経過観察が必要なD判定」が並んでいました。再検査の結果、白血球の数値は正常に戻っていましたが、私の前に立ち塞がったのは「甲状腺の肥大」という新たな壁でした。

「橋本病になる可能性があるから、ヨウ素の多い食べ物を減らしてください」

先生から突きつけられたのは、あまりに具体的で、日本人の食文化を直撃する宣告でした。

  • ワカメ、昆布などの海藻類を減らす。
  • 昆布出汁の効いた「おでん」は週に2回まで。
  • 味噌汁も同様に制限。

30代後半。ついに病気を意識し、大好きな出汁の香りにさえブレーキをかけなければならない時代が来てしまいました。おでんの季節に、これほど悲しい制限があるでしょうか。しかし、これが身体からのサイン。これからは「ヨウ素」と適度な距離感を保ちながら、細く長く生きていこうと思います。