子どもの頃、お弁当に入っていた好きなおかずは何でしたか?
一般的には、
- 1位:卵焼き
- 2位:ウィンナー
- 3位:鶏のから揚げ
と言われています。
これは2005年頃の情報なので、現在は多少変わっているかもしれませんが、それでもから揚げが上位にランクインすることは間違いないでしょう。
子どもの頃にお弁当を食べていた記憶のある方は、少し思い出してみてください。
朝作られたお弁当は、食べる頃には冷えていますよね。もしその中に前日の夕食の残りの牛肉の炒め物が入っていたとしたら、牛肉の周りに白い塊がついていたことはありませんか?
あれは口に入れると、あまり気持ちの良いものではなかったはずです。もちろん、あれは牛肉の脂なのですが、炒めた後に冷やされたことで固まってしまったものなんです。豚肉や鶏肉でも同じ現象は起きます。
しかし、口に入れた時の印象には大きな違いがあります。それは、それぞれの肉の脂の融点が違うため、冷えたお弁当のお肉を口に入れたときにその違いが大きく出てくるからです。
それぞれの脂の融点は以下の通りです。
- 鶏肉:30~32℃
- 豚肉:33~46℃
- 牛肉:40~50℃
肉によってかなりの違いがあることがわかりますね。
では、想像してみてください。
冷えたお肉を口に入れたとき、自分の口の中の体温で脂が溶ける鶏肉と、いくら経っても口の中で溶けない牛肉の脂、どちらを食べたいと思いますか?
脂はそのまま旨味に繋がるため、固まって食べにくい牛肉の脂よりも、口に入れれば脂が溶けて口当たりが良くなる鶏肉のほうが人気のおかずになるのは納得できますよね。
ちなみに、鶏肉の脂が溶けやすいのは、不飽和脂肪酸が飽和脂肪酸よりも多いためです。だいたい70:30の割合だと言われています。
「不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸って何?」という方もいらっしゃると思うので、簡単に説明します。
- 不飽和脂肪酸: 常温では固まりにくく、植物性油脂に多く含まれます。
- 飽和脂肪酸: 常温で固まりやすく、動物性油脂に多く含まれます。
鶏肉料理における「皮」の重要性
街を歩く人に「鶏肉は好きですか?」と尋ねたとします。
多くの方が「好きです」と答えるでしょう。それでも中には、「あまり好きではない」という人もいるかもしれません。そういった方に理由を聞いてみると、「鶏皮が好きではない」という意見がよく聞かれます。
特に女性には、鶏肉を食べる際に皮を剥がしてから食べるという方が少なくありません。理由としては、ブツブツとした見た目が苦手、食感が気持ち悪い、といった声が挙げられます。
では、お店で出てくるお肉料理を思い出してみてください。牛肉や豚肉には皮が付いていませんが、手羽先などの鶏肉料理には皮が付いていることが多いですよね?
これには、鶏肉を美味しく食べるための理由があるんです。生の鶏肉を思い出してみてください。皮と肉を分けると、肉にはあまり脂肪がついていないことがわかります。
鶏の皮の半分近くが脂質でできており、それに比べて牛や豚は肉の間に脂肪がついています。
100gで比較するとこのようになります。
- 鶏肉(皮なし):4.0g
- 豚肉(ロース):10.2g
- 牛肉(もも):9.6g
- 鶏皮:約45.0g (※鶏皮単体の脂質は部位によって大きく異なりますが、肉と比べて圧倒的に多いです)
鶏肉を食べる際に皮と一緒に食べることで、皮に含まれる脂質と水分が肉のパサつきを補い、より美味しく食べることができるのです。
鶏などの鳥類は、肝臓で脂肪酸を合成するため、肉の間に脂肪が蓄積しにくい体質です。皮下脂肪をつけた後も、筋肉には脂肪がつかずに肝臓に脂肪を溜めていきます。
フォアグラが取れるガチョウを思い浮かべると分かりやすいかもしれません。強制的に栄養を摂取させることで肝臓が肥大化し、フォアグラになりますが、そこまで太った外見ではありませんよね。
ちなみに、鶏がこのような体質を持つのは、飛ぶための筋肉を動かすのに邪魔にならないためだと考えられています。
おまけ
日本では牛や豚の皮を食べる習慣はあまりありませんが、韓国料理や中国料理には、この2つの皮を使った料理があります。コラーゲンが非常に多いため、そのままでは噛み切れませんが、長時間煮込むことでコラーゲンが分解され、簡単に噛み切れるようになります。






