スマートフォンもカメラも、気づけば驚くほど高性能になりました。ここ数年、カメラの進化は画素数の増加よりも、むしろ多様な機能の追加に重点が置かれているようです。GPS連携、SNSへの直接投稿、ハイダイナミックレンジ合成(HDR)など、実にさまざまな機能がありますが、残念ながらそれらを完璧に使いこなしている人はあまり見かけません。
増え続ける多機能性をすべて使いこなすのは難しいものですが、実は多くの機能は、撮影後に写真編集アプリやソフトで加工することで、意外なほど良い写真に仕上げることができます。
高性能カメラで失敗しないための基本
最近の高性能なカメラで写真を撮る際に最も大切なことは、「ブレないこと」と「撮りたいものが画角に収まっているか」です。少し広めの画角で撮影しておけば、後から必要な部分だけをトリミングするだけで、十分に美しい写真になります。
しかし、高性能なカメラであっても、動きのある被写体はブレやすく、夜景と人物を一緒に撮ろうとすると、夜景か人物のどちらかが暗く写ってしまい、なかなかきれいに撮れないという人も多いでしょう。
動く被写体を撮影する簡単なテクニック
ご家族やご友人のスポーツ、アウトドアシーンなどを撮影したいと思っても、思ったタイミングで写真を撮るのは慣れるまでは難しいかもしれません。しかし、大切なポイントさえ押さえれば、すぐにできるようになります。
そのポイントとは、「シャッターを半押しにして置きピンにする」ことです。こうすることで、あらかじめピントが合っているので、あとはシャッターを完全に押し込むだけで、簡単に自分の撮りたいタイミングで撮影できます。
なぜ半押しテクニックが必要なのか?
デジタルカメラで動きのある被写体を撮影する際、大きな問題となるのが「シャッターを押してから実際に撮影されるまでにわずかなタイムラグがある」ことです。撮りたい!と思ってシャッターを押しても、写真に残るのはその瞬間より少し遅れたカットになってしまうことがあります。
そんな事態を防ぐための技術が、先ほどの半押しテクニックです。最近の高性能カメラは多くの問題を解決してくれますが、普通に撮影しただけでは、デジタルカメラの性質上、撮りたい瞬間を正確に残すのは難しいのです。
デジタルカメラでシャッターを押した際の動作は、一連の流れがあります。
- 一度シャッターを閉じる
- オートフォーカスが作動する
- シャッターが開く
- CCDが被写体にピントを合わせる
- 撮影する
この5つの動作を行うため、シャッターを押してから撮影されるまでに0.3秒前後のズレが生じてしまいます。このズレを可能な限り減らす方法が、シャッターを半押しするというテクニックなのです。
半押しにすることで、撮りたい被写体にピントが合った状態になります。そうなると、あとは5番目の「撮影をする」工程だけになるため、シャッターを完全に押し込めば、撮りたいと思ったタイミングで撮影ができます。0.3秒かかる工程を減らすことで、動きのある写真のシャッターチャンスを逃すことなく撮ることができるのです。
もっと簡単な方法:連写機能
もっと手軽な方法として、カメラの連写機能を使うことでも、撮りたいタイミングの写真を捉えることができます。欠点としては、撮りたい瞬間までの写真が大量に撮影されてしまうことでしょうか。しかし、SDカードなどの記憶容量は格段に増えているので、手軽に試せる方法と言えるでしょう。
夜景と人物を一緒にきれいに撮る方法
夜、被写体の背景に明るい看板や花火などを入れてフラッシュ撮影をすると、撮れた写真を見ると被写体はしっかり写っているのに背景は真っ暗で、何を撮ったのか分からなくなってしまうことがあります。
逆にフラッシュを切って普通に撮影すると、明るい背景(看板や花火など)はきれいに写るものの、メインの被写体は真っ暗になってしまいます。人だとわかる程度には写っていても、数年後に見返した時に何の写真かわからなくなってしまうような写真は避けたいですよね。
被写体と背景の両方をきれいに撮るには、マニュアル撮影が一番、と言いたいところですが、かなり難しい設定を行う必要があります。正直なところ、思った通りの写真を撮るためには、何度も練習を繰り返さなければなりません。
カメラの「夜景&人物」モードを活用しよう
もちろん、そんな時間も努力も毎回できるわけではありません。マニュアル撮影はプロに任せて、私たちはカメラの便利な機能に頼りましょう。
最近のカメラには、オートフォーカス以外にも「プログラム撮影」や「アート撮影」など、たくさんの機能があります。その中でも、「夜景&人物」や「スローシンクロ」といった名称のモードがあれば、それを設定するだけで美しい写真が撮れるはずです。
もし、そういった専用機能がないという方には、Sモード(シャッター速度優先オート)やAVモード(絞り優先)といった設定で「スローシンクロ」を行うことができます。
スローシンクロの仕組み
夜に普通にフラッシュで写真を撮ると、フラッシュ発光後すぐに撮影が完了します。これに対してスローシンクロで写真を撮ると、まず人物をフラッシュで撮影し、そのままシャッターを2〜3秒長く開けることで、夜景の淡い光を十分に集め、人物と夜景の両方をきれいに写し出すことができます。
夜景をきれいに撮ろうとすると、ライトを当てるか、撮影時間を長くして淡い光を集めるまでシャッターを開けておく必要があります。ライトを当てるのは難しいので、シャッターが開く時間を長くするしかありません。これは一見簡単そうですが、問題もあります。撮影時間が長くなればなるほど、写真がブレる原因になるのです。
夜景撮影で最も重要なこと:ブレ対策
夜に写真を撮る上で最も重要なことは、「カメラがブレないこと」です。わずかな揺れでも、撮った写真が台無しになってしまいます。
ブレを防ぐためには、カメラをしっかりと固定することが非常に大切です。もし傘や杖を持っている場合は、その上に置いてカメラが揺れないように工夫してみてください。一番良いのは三脚を使うことですが、常に三脚を持ち歩いている人は少ないでしょう。
何もない場合は、カメラを両手でしっかりと持ち、脇を締めて体で固定する方法があります。この方法は慣れるまではブレてしまうこともあるので、機会があれば練習してみるのも良いでしょう。
今回は、動く被写体と夜景・人物の撮影方法という基本的な技術についてご紹介しましたが、慣れてきたらもっと難しい撮影方法にもぜひチャレンジしてみてくださいね。







